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広がるカーボンオフセット

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植林や風力発電など「グリーン電力」の利用、途上国での排出削減プロジェクトなどで発行されるクレジット(排出権)の取得などを通し、上乗せ額分だけ排出抑制対策に協力できる仕組みだ。電力や鉄鋼など大企業が行う排出権取得も、相殺という考え方では似ている。今年6月の独ハイリゲンダム・サミット(主要国首脳会議)も、開催で生じるCO2を相殺した。

一方、個人や中小企業も参加できる小口のオフセットを取り入れたサービスが近年広がりつつある。先行する英国では03年、人気バンド「ローリングストーンズ」が音楽界初の全英オフセットツアーを始めた。観客が1人15ペンス(約36円)を余計に払う事で、コンサートで出るCO2(1人あたり13`)を相殺するという。

ブリティッシュ・エアウェイズも05年、飛行で排出されるCO2の相殺額を、乗客が自主的に寄付するサービスを始めた。例えば、成田−ロンドン往復1人分のCO2排出量は約2.17d、相殺額は16.24ポンド(約4,000円)との計算だ。

京都議定書に参加していない豪州や米国などでも、同様のサービスは増えつつある。環境団体の植林計画に寄付するなど相殺の手法はさまざま。「市場規模」は不明だが、日本環境省によると年間500万dのオフセット用クレジットが取引されたとの試算もある。

日本では今年8月、日本郵政公社(当時)が08年正月用の「カーボンオフセット年賀」の発売を発表した。通常の年賀はがきに5円上乗せの1枚55円で販売し、1億枚の販売で15万6000d分のクレジットを取得する計画だという。大手スーパーの西友も9月、レジ袋に変わるマイバッグなどの収益の一部をオフセット用クレジット取得にあてると発表した。

さらに、個人向けに排出権の販売などを手がける「有限責任中間法人日本カーボンオフセット」(COJ、末吉竹次郎代表理事)が9月に設立された。オフセットに用いる排出権に、京都議定書で規定された今日とメカニズムの一つ「クリーン開発メカニズム」(CDM)を当てるのが特徴だ。

CDMは、国連によってCO2削減効果が厳密に認定される為、これを活用したオフセットに参加すれば、確実に温暖化に貢献できるという。購入された排出権分は日本の排出削減に算入される仕組みも整え、個人の協力が日本の国際公約達成の一助にもなる。三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、清水化学工業など16社が協賛し、12月上旬からホームページを通じて排出権を販売するほか、排出権価格を上乗せした商品の販売などを進める。

末吉さんは「多くの企業や市民グループなどと連携し、国を挙げてCO2排出が少ない『ゼロ・カーボン社会』を作りたい。京都議定書で日本に課された義務の達成にも役立ちたい」と話す。

「環境にやさしい生活をしたい」と思う心に応える、新たなビジネスを生む可能性を秘めているだけに、本当にCO2排出削減に貢献しているのかを保障する仕組みづくりが普及のカギだ。

英下院環境監査委員会などによると、同国では既に、信憑性にかかわるさまざまな問題が指摘されている。例えば、植林でオフセットしたと発表されたが、実際は40%の樹木が枯れていた◇植林で水を使いすぎ、地域農業への影響が懸念が生じた◇上乗せ額の使途が不透明◇業者によって排出量の計算結果がまちまち◇国際的に統一された登録システムのないクレジットの場合、二重算入の可能性がある ― など。

日本の環境省は先月、こうした問題を解消する仕組みづくりの為、有識者検討会を始めた。本来は、CO2排出の少ない生活に改める削減努力が第一で、相殺はあくまで補完策。だが、同省は「オフセットに参加することで環境に配慮する意識が広がり、排出量は確実に減る」と期待している。

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